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post#3 State of the Union is Stronger-オバマ大統領と一般教書演説 〜ハミルトンハイツ(N.Y)からの手紙〜
 coLLaboブログ読者のみなさま、こんばんは 

前回のポストの終わりでは、LGBT従業員の社内ネットワークの活動についてお届けするつもりだったのですが、今回はちょっと脱線しまして、2月中旬に行われたオバマ大統領のState of the Union(「一般教書演説」と訳されているものです)について、ふれてみたいと思います。


2009年に、米国史上初の非白人大統領となり、2012年の選挙で再選を決めたオバマ大統領は、今年1月に行われた第二期就任演説で「すべての人は平等である」という理念が米国の基盤であり、建国時からの精神をうけついで「同性愛者の法の下での平等がきちんと保障されるように」前に進むことが我々世代の責任である、と、同性婚の合法化を支持する文言を織り込んでいました。男女の賃金格差是正、選挙制度改革、移民法改革や銃規制による安心できる社会の実現、とならんで、第二期目の重要な政策課題として、同性婚の合法化を掲げているのです。

毎年2月に米議会と米市民に向けて米国の現状と課題を大統領が報告する、という形式のState of the Unionでは、同性婚については直接言及してはいませんが、「米軍の総司令官として、ゲイ/ストレートにかかわらずすべての兵士とその家族に平等な福利厚生を保障する」と具体的にDefense of Marriage Act (DOMA)*を崩していく政策を提言しました。しかもこの政策を「家族を大事にする」ために必要だと位置づけており、これは「同性婚を容認すると伝統的な家族感に危機をもたらす」「家族の絆をなしくずしにしていいのか」という保守反対派のレトリックを逆手にとった形になります。

これはものすごく画期的なことで、オバマ大統領が同性婚支持を公言してなおかつ再選されたということもあわせて、ここ数年のアメリカ世論の大きな変化を反映していると思います。

オバマ大統領は2008年、第一期当選時の演説で「アメリカ合衆国」は「老若、貧富、党派、人種、ストレート/ゲイ、障害の有無にかかわらず、みんなのつくる国である」と宣言し、おそらく米国史上初めて大統領としてLGBTの有権者にむけてはっきりとよびかけ、世界に向けて「みんなを代表する」という時の「みんな」には同性愛者も含まれる、と明言した政治家ですが、第一期目の政策として、軍隊をはじめとする雇用差別などの問題に関しては積極的ではあっても、同性婚に関しては、あからさまに反対ではないものの、「結婚」ではなく「Civil Union**」が妥当ではないかという消極的な見解にとどまり、「Civil Union」制度についても具体的な政策や提言はほとんど見られませんでした。

それが再選をかけた選挙運動の山場、2012年の5月にニュース番組のインタビューではっきりと、「これまでいろいろ考えてきて、個人的には同性婚を合法化すべきだという結論に至った」と公言し、またしても歴史に残る大きな一歩を踏み出したのです。

オバマ大統領は、内心は同性婚に抵抗はなくても、表向きには再選が確実になるまで同性婚についてははっきりした態度をとらないだろうなーと思っていたので、このニュースをきいたときにはものすごく驚きました。共和党候補との接戦が予想される中で、ずいぶんでかい博打にでたなぁ、と。同性婚支持を表明することで、もともとある民主党の支持基盤へのアピールを強めることはできますが、同時に、選挙の重要な鍵を握る中間層の反発を買うリスクも十分にあったわけですから。

オバマ陣営が、同性婚に関する世論調査の数字(僅差で賛成派50%が反対派45%を上回る)通り、中間層の許容度はある程度見込めるとよんでリスクをとったか、あるいは、大統領本人が開き直って、勝つ為に中間層に日和るのではなく、自らの正義感や倫理感に忠実に戦って再選を目指すことにしたか。

後者が動機だったことを信じたいのですが、2012年の選挙結果を見てみると、世論調査の数字よりも実際の許容度の方が高かったようなので、選挙戦略として、読みが間違っていなかったというのが実情かもしれません。

911以降、保守化、右傾化が急激に進むとともに、様々な格差が広まり、二極化が深刻になってきているアメリカ。オバマ大統領のメッセージは、第一期就任当時から一貫して、「アメリカの建国理念にたちかえり、すべての人が、自分の可能性を最大限に生かせる社会を目指そう」「立場や意見の違いをこえて、団結を取り戻し、同じ目標に向かってともに歩もう」といったものです。

「すべての人」のなかに、LGBTであるわたしたちも、きちんと含まれているし、国としての基本理念に反する、差別的な法制度の現状をなんとかしなければいけない、ということを、ずっとぶれずに、これだけはっきりと、優先度の高い課題として掲げているリーダーが現れたというのは、オバマ大統領個人の資質に拠るだけではなく、彼のような政治家が大統領に選ばれ得る土壌を整えるために、いろんな人たちが長い時間をかけて地道な努力を続けてきた成果です。

残りの4年間(実質は3年あるかないかですが)のなかで、オバマ大統領がどれだけ議会をひっぱって理念の実現に近づいていけるのか。それを後押しするために、私たちひとりひとりが、草の根レベルでどのような働きかけができるのか。こちらに戻ってきてからの、会社のLGBTネットワークの活動などともからめて、折々、お伝えしていけたら、と思っています。

、、、と、いうわけで、予告に違えて脱線はしましたが、なんとか、会社のネットワークの話につづく、というところに戻ってこれたでしょうか。

今回の写真はうちの猫、さつき近影。
ハミルトン1
届いたばかりの本棚にさっそく「入居」

ハミルトン2遊び疲れて昼寝

文とはなーんの関係もありません、、、
ちょっとカタい話だったので、なごみ系でしめくくってみようかと。

ではまた

*DOMAとは、連邦政府レベルで「結婚は男女異性間のみに認められるものである」と定めた法律。この法律のため、私の住んでいるNY州では同性婚が合法であっても、他州では婚姻の事実が認められない場合もあり、また税制や年金制度、移民法などの面において、婚姻関係にある異性カップルと同じ権利は認められないという矛盾が生じています。公務員の場合、たとえばNY市や州の地方公務員であれば、同性婚をしていれば配偶者と同等の福利厚生が保障されているのに、国家公務員(軍隊も含む)だと健康保険や退職金、年金制度上は独身扱いとなってしまうのです。
**Civil Unionを日本語に訳すのは難しいのですが、宗教や伝統といったしがらみのある"marriage"「結婚」とは別枠で、法律上の手続きとしてのカップル認定の手段として、婚姻に近い(または同等の)権利を保障する、といったものです。どこまで婚姻と同じ、あるいは近いものとするかは、同じCivil Unionとよばれるものでも、制度によってまちまちです。


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